メインコンテンツへ移動
SalesRadarLogo
ABMとThe Modelはどちらが正解?BtoB成長戦略の「使い分け」と「統合」の考え方

ABMとThe Modelはどちらが正解?BtoB成長戦略の「使い分け」と「統合」の考え方

ABM・ターゲティング営業

2026年9月30日

公開日: 2026年9月30日

著者

SalesRadar編集部

ABMとThe Modelは、どちらもBtoB企業の営業・マーケティング戦略を考えるうえで重要な考え方です。一方で、「ABMとThe Modelは何が違うのか」「自社ではどちらを優先すべきなのか」と迷うケースも少なくありません。

実は、ABMとThe Modelは単純に比較して、どちらか一方を選ぶものではありません。ABMは「どの企業を狙うか」に重点を置いた戦略であるのに対し、The Modelは「マーケティングから営業、カスタマーサクセスまで、どのように営業プロセスを設計するか」という考え方です。そのため、両者は競合するものではなく、目的に応じて使い分けたり、組み合わせたりできます。

本記事では、ABMとThe Modelの違いを、目的・対象・KPI・必要なリソースなどの観点から整理します。さらに、それぞれを優先すべきケースや、The ModelにABMを組み込む方法、導入時に起こりやすい失敗パターンまで解説します。

ABMとThe Modelは「戦略」と「組織設計」の違い

ABMは特定の企業に対して施策を展開するため、ターゲット企業の選定や企業ごとの情報収集が重要になります。一方、The Modelでは、部門間の連携や各プロセスの役割分担など、営業活動全体をどのように設計するかがポイントになります。

まずは、それぞれの基本的な考え方を確認しましょう。目的やKPIなどの具体的な違いは、後述の「ABMとThe Modelの5つの違い」で詳しく比較します。

ABM:重要な企業に営業・マーケティングのリソースを集中する

ABM(Account Based Marketing)は、企業を単位として営業・マーケティング活動を設計する考え方です。

一般的なリードベースのマーケティングでは、多くの見込み顧客を獲得し、その中から営業対象を絞り込んでいきます。一方、ABMでは先に「自社にとって重要な企業」をターゲットアカウントとして選定し、企業ごとにアプローチを設計します。


特に、高単価の商品・サービスや、複数の関係者が意思決定に関わる商材では、企業単位で顧客を捉えることが重要です。

関連記事:ABM(アカウントベースドマーケティング)とは何か?仕組み・メリット・実践ステップをわかりやすく解説

The Model:営業プロセス全体を分業・連携する

The Modelは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなどが役割を分担し、営業プロセス全体を設計する考え方です。例えば、マーケティングが見込み顧客を獲得し、インサイドセールスが育成・商談化、フィールドセールスが受注、カスタマーサクセスが継続利用やアップセルを担当します。

各部門の役割やKPIを明確にすることで、営業活動の属人化を抑え、部門間で顧客情報を共有しながら、再現性のある営業プロセスを構築しやすくなります。

ABMとThe Modelの5つの違い 

ABMとThe Modelは、どちらもBtoBの営業・マーケティング活動に関係しますが、考え方の出発点が異なります。ABMは「狙う企業を絞る」ことに重点を置き、The Modelは「営業プロセスを仕組み化する」ことに重点を置いているといえます。

まずは、性質・対象・目的・KPI・必要なリソースの5つの観点から、ABMとThe Modelの違いを比較してみましょう。 

ABMとThe Modelの比較表
  ABM
(アカウントベースドマーケティング)
The Model
(営業プロセスの設計フレームワーク)
track_changes性質 営業・マーケティング戦略 組織・プロセス設計
groups対象 特定の重要アカウント リードから顧客までの
営業プロセス全体
flag目的 重要企業への集中 営業プロセスの標準化・
再現性向上
bar_chartKPI Account Coverage、Engagement、
パイプラインなど
MQL、SQL、受注率、ARRなど
settings必要なリソース 企業ごとの情報収集・個別対応 部門間の役割分担・KPI設計

5つの違いの中でも、特に考え方の違いが表れやすいのが「目的」と「KPI」です。

ここからは、この2つの違いを中心に詳しく解説します。

目的の違い:「成果の大きさ」か「成果の再現性」か

ABMの目的は、重要なアカウントにリソースを集中させ、一社あたりの成果を最大化することです。企業単位で関係者や課題を把握し、重点アカウントとの接点や商談、パイプラインを追いながら、営業・マーケティング活動の質を高めていきます。

ITSMAとABM Leadership Allianceが2017年に実施した調査(※1)では、ABMを実施しているマーケターの87%が「ABMは他のマーケティング施策よりも高いROIをもたらす」と回答しています。ただし、この調査はBtoBのテクノロジー企業やビジネスサービス企業を中心としたものであり、すべての企業に同じ効果が得られることを示すものではありません。

一方、The Modelの目的は、営業活動を個人の経験や能力だけに依存させず、組織として再現できる状態をつくることです。マーケティングがどのようなリードを獲得し、インサイドセールスがどの基準で商談化し、営業へ引き渡すのかを明確にすることで、営業プロセスのどこに課題があるのかも把握しやすくなります。

つまり、ABMは「成果の大きさ」、The Modelは「成果の再現性」を追求する考え方といえます。

KPIの違い:「企業」を測るか「流れ」を測るか

ABMでは、リード数ではなく、ターゲット企業単位で成果を確認します。代表的な指標は、ターゲットアカウント数、Account Coverage(ターゲット企業のうち接点を持てている企業の割合)、Account Engagement(ターゲット企業の関与度合い)、パイプライン創出額などです。「何件のリードを獲得したか」ではなく、「狙っている企業との接点がどの程度増えたか」「商談や受注につながっているか」という視点で評価します。

一方、The Modelではプロセスごとに KPIを設定します。マーケティングではMQL数、インサイドセールスではSQL数や商談化率、フィールドセールスでは受注率や受注金額、カスタマーサクセスでは継続率やLTVなどです。これらを積み上げた結果として、ARRなどの事業指標を管理します。重要なのは、各部門が個別の数字だけを見るのではなく、前後のプロセスとのつながりを意識することです。

The Modelが営業プロセスの「流れ」を測るのに対し、ABMは「企業」を測る。この測る単位の違いが、両者を併用する際の衝突の原因にもなります。

ABMとThe Modelは「優劣」ではなく役割が違う

両者を比較するときに注意したいのが、「ABMとThe Modelのどちらが優れているか」という考え方です。ABMはターゲット企業を明確にし、重要な企業へリソースを集中するための考え方です。一方、The Modelは、営業プロセスを分業・標準化し、組織として成果を出すための考え方です。

そのため、企業によってはThe Modelを営業組織の基本構造として整え、その中で重要企業に対してABMを実施することもできます。

ABMとThe Modelがぶつかる4つのポイント

ABMとThe Modelは組み合わせられる考え方ですが、そのまま併用すると現場で衝突が起きやすくなります。原因は、The Modelが「リード(個人)」と「プロセス」を単位にしているのに対し、ABMは「アカウント(企業)」を単位にしているためです。

ここでは、併用時に起こりやすい4つの衝突と、その対処法を紹介します。

ABMとThe Modelがぶつかる4つのポイント

①KPIの衝突:「リード数」と「重点企業の攻略」が両立しない

The Modelでマーケティングの評価がMQL数に置かれていると、少数の重点企業に時間をかけるABMは「数字が伸びない施策」に見えてしまいます。重点企業向けの個別コンテンツやイベントは、獲得できるリード数が少ないためです。その結果、ABMは後回しにされ、形だけの取り組みになりがちです。

対処法:ABMの対象企業については、MQL数とは別に、Account Engagementやパイプライン創出額で評価する枠を設けます。

②引き渡し基準の衝突:重要企業ほどMQLにならない

The Modelでは、個人単位のリードスコアでMQL→SQLの引き渡しを判断するのが一般的です。しかし、2025年のGartner調査(※2)によると、BtoBの購買グループは5~16人、最大4部門にまたがるケースがあるとされています。関心が複数の担当者に分散すると、一人ひとりのスコアは基準に届かず、重要企業ほどMQLとして上がってこないという事態が起こります。

対処法:Tier1企業については、個人スコアではなく「企業全体の接点数」や「関与している部門数」で判断する、アカウント単位の引き渡し基準を設定します。

③役割分担の衝突:分業と一気通貫のどちらを優先するか

The Modelは工程ごとに担当を分け、条件を満たしたら次の部門へ引き渡す仕組みです。一方、ABMでは重要企業に対して、マーケティング・営業・CSが最初から一緒に動くことが求められます。この2つを混在させると、「このアカウントの責任者は誰なのか」が曖昧になり、対応の重複や抜け漏れが起きます。

対処法:Tier1企業にはアカウントオーナー(多くは営業担当者)を置き、各部門はその企業についてはオーナーと連携して動く体制にします。

④時間軸の衝突:月次のファネル管理と長期の攻略

The Modelは、月次・四半期ごとにファネルの数字を追いかけるのが基本です。しかし、ABMの対象となる大型商談は、成果が出るまで半年〜1年以上かかることもあります。短期の数字だけで判断すると、ABMは「成果が出ていない」とみなされ、途中で打ち切られやすくなります。

対処法:ABMには、キーパーソンとの接点数や関与部門数、提案機会の数といった中間指標を設定し、短期でも進捗を確認できるようにします。

ABMとThe Modelの使い分け方

では、自社ではABMとThe Modelのどちらを優先すればよいのでしょうか。判断するときは、「どのような企業をターゲットとしているか」「現在どのような営業上の課題があるか」の2つを確認すると整理しやすくなります。

ABMを優先すべきケース

ABMを優先したいのは、限られた重要企業を確実に攻略したいケースです。

具体的には、次のような企業が当てはまります。

  • エンタープライズ企業への営業が中心
  • 一件あたりの契約金額が大きく、一社の受注が事業に与える影響が大きい
  • 営業サイクルが長く、複数の意思決定者や関係部門が存在する
  • 既存顧客へのアップセルやクロスセルを強化したい

このような企業では、ターゲット企業を明確に定め、企業ごとの課題や関係者に合わせてアプローチすることで、商談や受注につながる可能性を高められます。

一方、低単価の商品を多数の企業へ効率的に販売するビジネスでは、一社ごとに細かな施策を行うABMよりも、幅広くリードを獲得し、効率的にアプローチする方法が適している場合もあります。

関連記事:【ABMツール選定ガイド】導入で失敗しないための評価軸とタイプ別比較

The Modelを優先すべきケース

一方、営業・マーケティング組織そのものを整理したい場合は、The Modelを優先するのが適しています。

具体的には、次のような課題を抱えている企業です。

  • マーケティングが獲得したリードを営業が活用できていない
  • MQLとSQLなど、リードの定義が部門によって違う
  • 部門ごとにKPIが異なり、共通認識がない
  • 営業担当者によって対応方法が異なり、属人化している
  • 事業成長に合わせて営業プロセスを整理したい

特に、営業・マーケティング組織が拡大している企業では、まず部門ごとの役割やKPI、顧客を引き渡す基準などを整理することが重要です。

自社に合う方法を簡単に診断

ABMとThe Modelのどちらを優先して検討すべきか迷った場合は、「企業の絞り込み」と「プロセスの整備」の2つの観点から、自社の状況を確認してみましょう。

【企業の絞り込みに関する質問】
Q1. 一社あたりの契約金額が大きい?
Q2. 特定の大手企業を重点的に攻略したい?

【プロセスの整備に関する質問】
Q3. マーケティング・営業・CSの役割が曖昧?
Q4. 部門ごとにKPIやリード定義が異なる?

ABM・The Model簡易診断チャート

Q1・Q2にYESが多ければABM、Q3・Q4にYESが多ければThe Modelを優先して検討しましょう。

両方にYESがある場合は、ABMとThe Modelの併用が有効です。

その場合は、次章で紹介する組み合わせ方や、後述の「【導入パターン別】ABM先行型とThe Model先行型」を参考にしてください。

ABMとThe Modelを組み合わせる方法

ABMとThe Modelは、どちらか一方を選ばなければならないものではありません。

むしろ、営業プロセスをThe Modelで整理したうえで、その中にABMの考え方を取り入れることで、組織全体の効率化と重要企業への集中を両立できます。

The ModelのMQL→SQLフローにABMを組み込む

The Modelでは、マーケティングからインサイドセールス、営業へと顧客を引き継いでいきます。この流れにABMを組み込む場合、すべてのリードを同じように扱うのではなく、企業の重要度に応じて対応方法を変えます。例えば、特に重要な企業については、マーケティングの段階から営業と情報を共有し、個別のコンテンツやイベント、アウトバウンド施策などを組み合わせます。こうすることで、「営業プロセスは標準化しながら、重要企業には個別対応する」という体制をつくれます。

The Model×ABMの組み込みイメージ

アカウントをTierに分ける

ABMを組織全体に取り入れる場合、すべての企業に同じだけのリソースをかける必要はありません。企業の重要度に応じてTierを設定し、対応方法を変えることで、限られたリソースを有効に活用できます。Tierを分ける際には、契約金額、業界との親和性、企業規模、意思決定者の数、既存顧客との類似性など、自社にとって重要な条件を基準にします。

例えば、最重要企業をTier1、重点企業をTier2、それ以外をTier3として分類します。

重要なのは、Tierを作ること自体を目的にしないことです。

どのTierにどの程度のリソースを投入するのか、マーケティング・営業・CSが共通認識を持つことが重要です。

Tier分類のイメージ

部門ごとの役割を明確にする

ABMを導入するときは、営業だけでなくマーケティングやカスタマーサクセスも含めて役割を決めることが重要です。マーケティングはターゲット企業との接点づくり、インサイドセールスは接点のある企業の商談化、営業は個別の提案・受注、CSは受注後の継続利用やアップセルなどを担当します。The Modelで部門ごとの役割を整理し、そのうえでABMによって「どの企業に重点を置くか」を共有すると、部門間で同じ企業を見ながら活動できるようになります。

ABMの実践を支援するSalesRadar

ABMを実際の営業活動に取り入れるには、まず自社にとって重要な企業を選定し、その企業の情報を把握する必要があります。しかし、企業情報を一社ずつ調べたり、ターゲット企業をリストアップしたりする作業には、多くの時間がかかります。また、マーケティングと営業で別々に企業情報を管理していると、ターゲットに対する認識がずれてしまうこともあります。

こうしたABMの実践を支援するツールの一つが、SalesRadarです。

SalesRadarは、企業データベースを活用して、自社のターゲットとなる企業を検索・抽出し、営業リストを作成できるサービスです。

業種や企業規模、エリアなどの条件から企業を絞り込めるため、ABMで重要となる「どの企業にリソースを集中するか」というターゲット選定を効率化できます。

さらに、作成した企業リストを営業活動に活用することで、マーケティングと営業が共通のターゲット企業をもとに活動しやすくなります。

ABMを活用したいと検討されている方は、SalesRadarサービス詳細資料をぜひご覧ください。


ABMとThe Modelでよくある失敗パターン

ABMとThe Modelを導入しても、考え方だけを取り入れれば成果が出るわけではありません。特に注意したいのが、KPIや役割が整理されないまま施策だけが先行してしまうケースです。

ABMだけ導入してKPI設計が伴わない

「重要企業を決めて個別アプローチする」だけでは、ABMとはいえません。

どの企業を重要とするのか、どのような接点をつくるのか、どの段階で営業へ引き渡すのかを決め、成果を測定できる状態にする必要があります。

企業を選定しただけで満足せず、アプローチ後の行動や商談、受注まで追える仕組みを整えましょう。

The Modelだけ導入して大型商談への個別対応が漏れる

The Modelによって営業プロセスを標準化すると、業務の再現性を高めやすくなります。

一方で、すべての企業を同じプロセスで扱おうとすると、大型商談や戦略的に重要な企業への対応が不足することがあります。

重要企業については、標準プロセスをベースにしながら、必要に応じて個別のアプローチを追加することが重要です。

部門間の合意がないままTier分類だけ進める

Tier1、Tier2、Tier3と企業を分類しても、部門によって重要度の認識が違えば、実際の活動にはつながりません。

例えば、マーケティングはTier1と認識している企業を、営業が通常のリードとして扱っていれば、ABMの効果は十分に発揮できません。

Tier分類を行う際は、「なぜこの企業を重要とするのか」「どの部門が何をするのか」まで共通認識を持つことが大切です。

【導入パターン別】ABM先行型とThe Model先行型

ABMとThe Modelを導入する順番は、企業の課題によって異なります。

営業プロセスに課題がある企業と、特定企業の攻略に課題がある企業では、最初に着手すべきことが変わるためです。

パターンA:The Modelでプロセスを標準化し、ABMで大規模取引を獲得する

営業・マーケティングの組織が拡大している企業では、まずThe Modelによってプロセスと役割を整理し、その後、重要企業に対してABMを実施する方法があります。

まず、マーケティング、インサイドセールス、営業、CSの役割とKPIを整理します。

そのうえで、企業をTierに分け、重要なアカウントについては部門横断で個別の攻略を行います。営業プロセスの土台を整えたうえでABMを実施するため、個別対応が属人化しにくい点がメリットです。

The Model先行型

パターンB:ABMで特定業界に集中し、The Modelで組織横断KPIを整備する

一方、すでに狙いたい企業や業界が明確になっている場合は、ABMからスタートする方法もあります。

まず、自社の商品・サービスとの親和性が高い業界や企業を選定し、重点的にアプローチします。そこで得られた成功パターンを整理し、マーケティングやインサイドセールス、営業などの各部門へ展開していきます。その後、The Modelの考え方を取り入れて、各部門の役割やKPIを整理すると、特定企業への攻略で得たノウハウを組織全体へ広げやすくなります。

ABM先行型


ABMとThe Modelに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 中小企業でもThe Modelは有効?

A.有効です。The Modelは企業規模そのものよりも、営業プロセスを整理し、部門ごとの役割やKPIを明確にしたいかどうかが重要です。営業担当者が少ない企業でも、「誰がどの工程を担当するのか」「どの状態になったら次の担当者へ引き継ぐのか」を整理することで、営業活動の属人化を防ぎやすくなります。

ただし、組織規模が小さい場合は、The Modelの考え方をそのまま複数部門に分けるのではなく、一人または少人数で複数の役割を担当する形で取り入れることもできます。

Q2. ABMはThe Modelがないと失敗する?

A.必ずしもそうではありません。ABMは、重要な企業を選定して重点的にアプローチする考え方なので、The Modelを導入していなくても実施できます。ただし、ABMを継続的に運用する場合は、マーケティング・営業・CSなどが同じターゲット企業を認識し、それぞれの役割を明確にすることが重要です。その意味では、The Modelの考え方とABMを組み合わせることで、組織としてABMを運用しやすくなります。

Q3. ABM導入に必要なツール・体制は?

A.まず必要なのは、ツールよりも「どの企業を狙うのか」という基準を決めることです。

そのうえで、企業情報を管理するデータベース、顧客との接点を管理するCRMやSFA、マーケティング施策を管理するMAなど、必要な機能を整理していきます。また、ABMは営業だけで完結する施策ではありません。ターゲット企業の選定、情報収集、アプローチ、商談、受注後のフォローまで、関係する部門が共通認識を持って進めることが重要です。

Q4. ABMとThe Modelを両方導入する場合、どのくらいの期間がかかりますか?

A.The Modelの部門・KPI整理だけでも数ヶ月単位の調整が必要になることが一般的です。そのうえでABMのターゲット企業選定・Tier分けを行うため、段階的に半年〜1年程度を見込むケースが多く見られます。ただし、すでに営業・マーケティングの役割分担ができている企業であれば、ABMの部分導入だけで数週間〜数ヶ月というケースもあります。

Q5. ABM導入で最初に着手すべきことは何ですか?

A.ツールの導入よりも先に「どの企業を重要アカウントとするか」の基準(契約金額、業界親和性、意思決定者の数など)を決めることが出発点です。基準が曖昧なままツールだけ導入すると、Tier分類が形骸化しやすくなります。

Q6. The Modelの部門間で対立が起きやすいのはなぜですか?

A.マーケティングは「リード数」、インサイドセールスは「商談化数」、営業は「受注数」というように、部門ごとに評価指標が独立しがちなためです。前後のプロセスとのつながりを意識したKPI設計と、引き渡し基準の共通認識づくりが対立を防ぐ鍵になります。

まとめ:ABMは「戦略」、The Modelは「組織設計」

ABMは「戦略」、The Modelは「組織設計」

ABMとThe Modelは、どちらか一方が優れているというものではありません。

ABMは「どの企業に重点的にアプローチするか」を考える戦略であり、The Modelは「マーケティングから営業、カスタマーサクセスまで、どのように営業プロセスを設計するか」を考えるフレームワークです。そのため、重要企業を絞り込んで攻略したい → ABM、営業・マーケティングのプロセスを整理したい → The Modelという考え方を基本にすると、自社に必要な取り組みを判断しやすくなります。さらに、The Modelによって営業プロセスを整え、その中にABMを組み込むことで、「組織として効率よく営業すること」と「重要企業にリソースを集中すること」の両立も可能です。重要なのは、ABMかThe Modelかを固定的に選ぶことではありません。自社の顧客単価、ターゲット企業の規模、営業サイクル、組織体制、現在抱えている課題を整理したうえで、必要な考え方を組み合わせることです。まずは「自社は企業を絞り込むことが課題なのか、それとも営業プロセスを整えることが課題なのか」を確認するところから始めてみましょう。


参考文献

(※1)Business and Technology Insights and Trends

(※2)ITSMA and ABM Leadership Alliance Leadership Survey: Driving Growth with Three Types of ABM

この記事をシェアする

AUTHOR

この記事の著者

編集部

SalesRadar編集部

SalesRadar編集部は、株式会社FUTUREWOODSが運営する企業データベースサービス「SalesRadar」の公式メディアチームです。3,500社以上のマーケティング支援実績をもとに、ABM・リード獲得・営業効率化に関する最新情報と実践ノウハウを発信しています。

プロフィール @sales_radar
SUPERVISOR

この記事の監修者

SalesRadarユニットマネージャー/法人DBプロ

猪俣詢 (いのまたまこと)

エンジニアとして10年以上、法人データベースの設計・開発・運用に従事。現在はBtoB営業インテリジェンス・プラットフォーム「SalesRadar」のPdMを務める。 データを「作る側」の視点から、名寄せ・法人DB活用・ABM設計を営業・マーケティング現場の言葉に翻訳することを専門とする。中堅BtoB企業のSales Ops・営業企画向けに、法人DBを営業の武器にするための実践知識を発信している。

プロフィール @srdb_inomatannote

SalesRadarの最新記事を見逃さない

Google検索でSalesRadarを優先ソースに設定すると、トップニュースに最新記事が表示されやすくなります。

Googleで優先ソースに設定

人気の記事 TOP5

Sales Radar 資料ダウンロード

関連記事

Pick UP
ABM(アカウントベースドマーケティング)とは何か?仕組み・メリット・実践ステップをわかりやすく解説
ABM・ターゲティング営業

2026/09/01

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは何か?仕組み・メリット・実践ステップをわかりやすく解説

Pick UP
【完全版】ABMリストの作り方5ステップ ~成果が出る選定基準・優先度設計・ツール活用まで解説~
ABM・ターゲティング営業

2026/07/02

【完全版】ABMリストの作り方5ステップ ~成果が出る選定基準・優先度設計・ツール活用まで解説~

Pick UP
【ABMツール選定ガイド】導入で失敗しないための評価軸とタイプ別比較
ABM・ターゲティング営業

2026/06/19

【ABMツール選定ガイド】導入で失敗しないための評価軸とタイプ別比較


貴社のビジネスを最大化させるヒントが満載 まずは資料をご覧ください!

SalesRadar

SalesRadarサービス資料

サービスの特徴や活用事例などをわかりやすくおまとめした資料です。貴社に合わせた活用方法のご提案なども可能です。お気軽にお問い合わせください。

資料をダウンロード
無料相談

無料相談のご予約

営業課題についてお気軽にご相談ください。専門スタッフがオンラインで詳しくご説明いたします。

無料相談